シャーマニズムの世界

2020/05/09
20世紀に入って初めて文明の光が差し込んだ未開の大地である。宣教師を先頭に世界中から様々な人類学者やその他の学者が調査を目的に訪れだして石器時代そのままの原始生活を続ける原住民の姿を世界に紹介した。

ジャングルの奥の深い谷合の小さな部落に住み、身につけるものはわずかの飾り物だけという原住民たちは完全に未開宗教の1つであるシャーマニズムの世界に生きている。それは呪術師の支配する迷信と錯覚と夢想と呪いの世界で、土人たちは彼らの小さな部落を取り囲むジャングルの中にもその中を流れる河にも石にも精霊が宿っていることを信じて疑わない。

原始的なあらゆる労働、祭祀は呪術師を中心としてとり行なわれ、呪術師は最高に近い地位を与えられ、降神術を行ない、死者と言葉をかわし、病の治療までする他に様々なタブーを部落民に与え、それを犯す者に罰を与える裁判官でもある。

部落民は一体となって呪術師の言葉に従って生き、呪術師の罰した者を部落全体が罰するのである。彼らのタブーの中にはジャングルの木々に落ちる稲妻の光や流れがおきた時の水音、真っ暗な夜に叫ぶフクロウの鳴き声などがあって、これらはそれぞれ重大な意味を持ち、特に雷が墓地に落ちた時はすぐ呪術師のところへ駆けつけてなだめの呪文を唱えてもらわねばならないという。

洪水の音を聞いて夫と喧嘩して自殺してしまった女性もいるし、フクロウが鳴くのを耳にして去年祖先の墓に十分な豚を捧げなかったことが判明した者もいる。あつい食事をした後ですぐ河のほとりに行くと、河の精にとりつかれるというタブーを犯した青年は腹痛を起こし、その上一定の罰を受けねばならなかったそうだ。