日本製造業の戦後最大のピンチとは

2020/05/09
証券マンの詐欺同然の勧誘ぶりに問題があることはもちろんだが人に金を預けて何割、あわよくば何倍にも膨れ上がることを期待する当人にも問題がある。プロの株屋は経済界から政界から各企業の内幕まで懸命に調べ上げた末に株に賭けるのだが、金を預けた人はゴロ寝でテレビを見ながら天から大金が降ってくるのを待っていただけである。
 
高度経済成長期までの日本人は貧しかった。欧米の豊かな生活や高い文化に対して長くコンプレックスを抱いていた。それが急に経済大国の人になったと思い込んだのだから日本経済の未来はますます明るく金が必ず金を生むと信じたのだろう。ほんのちょっと豊かになった貧乏人の浅はかさと言うべきか。金融機関の方もかつてなく豊富な預金残高を握り、土地や株の巨額の含み益をかかえた余り頭がおかしくなったのであろう。
 
また、戦後50年余の日本と中国とアメリカの歴史を回想して改めて痛感したことはアメリカも中国も国際的にも国内的にも挫折や失敗を重ねて苦しみ、ようやくそれを乗り超えてきたのに対して日本経済は1980年代の末まで石油ショック後の2年ほどの不況を除けば順調に成長してきたということである。大蔵省であれ金融機関であれ危機管理が下手なのはそれが戦後はじめての経験で、危機に対処する制度も人材も欠いていたからではないか。
 
しかし、それにしても1990年代の日本の製造業は戦後最大の曲がり角の時期をよく凌いできた。それが金融機関の豊富な預金残高をもたらした原因の1つであろう。ところが金融機関の方はその金を不動産投機やデリバティブなどに回し、賭け事に敗れてすってしまった。そして製造業に対して貸し渋り、なかには黒字倒産する企業も出てくるというのは技術系の私などからはなんとも釈然としない。真面目に働く息子が稼いだ金を父親に預けたところ親はそれを博打ですって、息子は窮地に陥ったという感じである。